研究概要 |
石英単結晶の表面に形成された微小圧痕の周辺がどのように変形しているのかを,ラマン分光やSEM-EBSD,レーザー顕微鏡を駆使して検討した。その結果,これまでほとんど解っていなかった興味深い現象を発見した。 石英表面に圧痕を作るのに,超微小硬度計と高温微小硬度計を利用した。使用した圧子は,バーコビッチ三角錐圧子と三角錐68°圧子で,加えた荷重は最大で1N,温度は最高で約290℃である。ラマン分光学的研究では,圧痕内部で通常の石英が呈するラマンピークの波数とは異なるものや,ピークが二つに分裂しているものを発見した。このことは,圧痕周辺に残留歪があることを示しており,ピークシフトの量から,その歪を生じさせた残留応力が最大で2。5GPa以上であることを見いだした。また,残留応力は圧痕から離れると急激に減少することも解った。SEM-EBSD法による観察では,圧痕周辺に特徴的なドフィーネ式双晶が存在することを見いだした。双晶の分布が圧痕と非常に密接に関係していることから,これが変形双晶であることを示した。ドフィーネ式双晶は規則的ではなく,特に試料中に既にこの双晶が存在する場合には,圧痕形成時に双晶が形成されないことも観察している。 石英多結晶体(メタチャート)を試料として、石英粒子の結晶粒界を横切って、マイヤー硬度の測定を行った.その結果,結晶の粒界でマイヤー硬度が著しく下がっている場合があることを確認した。なぜそうなるのかについて目下検討中である.
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