研究概要 |
兵庫県南部地震地域では,約830箇所の斜面崩壊が生じた.その中で詳細に検討した地域の中で,3-4地域に絞り,地中レーダを用いて調査を行った.特に,淡路島の野島断層地域では,地中レーダからも断層が明瞭に見られ,地中レーダが有効であることが判明した.また,神戸市長田区の大谷地域では,谷埋め盛り土で,兵庫県南部地震で地盤変状により多くの被害が生じた地域である。そこでは亀裂の有無,断層や圧砕帯の調査,粘土細脈などの地質特性の調査のほか,地下水位の位置等の調査,さらに,地形特性である斜面の角度や高さ等の調査を行った.その結果,盛り土と地山層の境界の確定が明瞭に見られた.また,1測線から,調査点を格子状に設定し,これら複数測線を調査し,3次元画像作成調査も行い,液状化地滑りなどの変状が生じたことが明らかとなった.さらに,今回,新潟県中越地震地域に地中レーダを持参し,地滑りなどの地盤変状が容易に地中レーダで読みとることができ,この機器の有効性が判明した,分析電子顕微鏡では六甲山麓斜面崩壊地域の沸石やバーミキュライト,カオリナイトなどの粘土鉱物を同定し,画像を拡大し,これら変質鉱物の微少部分の化学分析を行った.その結果,カルシウムが多い地点で崩壊が進行していた.また,化学組成結果から,これら変質鉱物の形成条件,特に温度や圧力を見積もると,おそらく断層に沿って熱水が上昇し,それらによる変質が進行していた.また,これら変質鉱物が多い地点で斜面を滑落させ他と思われる. 画像分析した試料から兵庫県南部地震で生じた斜面崩壊状況を比較し,崩壊と変質鉱物の化学組成との相関関係を明らかにすることが可能となってきた.
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