研究課題
基盤研究(B)
本研究課題では、レーザー加熱ダイヤモンドアンビルセルによる高温高圧発生技術を用い、マントル最下部に存在する鉱物の溶融現象がもたらす様々な影響を実験的に調べることを目的として研究を行った。研究開始当初は、より単純な鉱物の高温下での相関係を調べることを目指したが、この条件では必然的にマントル最下部と接する地球核の溶融鉄が反応系として含まれてくることがより現実的な議論を生み出すことから、いくつかの系では溶融鉄と(溶融)ケイ酸塩の反応関係を調べることになった。また、溶融関係だけでなくマントルダイナミクスに重要な影響を及ぼす含水相の安定性に関しても研究を行った。計画初年度に導入したスパッタリング装置を用いた加熱用吸収膜や断熱材の薄膜形成技術、高エネルギー加速器研究機構放射光実験施設およびSPring-8での放射光X線その場観察実験や、各種光学分光法も同一試料に対して可能とするために新たに開発した対称形ダイヤモンドアンビルセルを用い、両面加熱法による温度の均一化・安定化を推し進めた。また、回収試料に対するレーザー加工機や収束イオンビーム加工機を用いた微細加工、およびこれらの技術で得た回収試料に対する電子顕微鏡観察や組成分析などの微小分析技術を総合して、140GP,4000Kに至る極端条件下の実験と試料の分析を可能とした。その結果、核一マントル境界で溶融鉄とケイ酸塩ペロブスカイト及びポストペロブスカイト相が反応して地球核中に珪素と酸素を供給し得ること、マントル全域に渡ってケイ酸塩よりもマグネシオウスタイトに鉄成分が濃集すること、熱源として重要なカリウムが地球核に有意に溶け得ること、高圧含水層であるδ-ALOOH相が100GPa,2000Kに至る条件でも脱水せずに安定相として存在すること、K-ケイ酸塩の高圧多形の安定領域に関してポストホーランダイト相が100GPa,3000Kの条件でも安定に存在できること等を示した。
すべて 2006 2005 2004
すべて 雑誌論文 (22件)
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