研究課題
液体ゲルマン酸塩の短距離構造を放射光を用いた高温高圧下でのX線吸収法およびX線回折法によって調べた。X線吸収法により10 GPa、1500 Kまでの温度圧力領域における第一近接Ge-O結合距離の圧力変化を調べた。Li_2Ge_4O_9組成とSrGeO_3組成のどちらの液体においても4GPa以上で6配位構造が安定となった。これらの液体ゲルマン酸塩のネットワーク構造は常圧下で異なる重合度をもつが、6配位構造が安定となる圧力領域はどちらの液体でも同じ4GPaであったことからGe原子周りの圧力誘起局所構造変化に共存する陽イオンが及ぼす影響は小さい可能性が考えられる。ゲルマン酸塩において液相中における異なる局所構造の存在が実験的に明らかになったことから、液相中での構造変化は緩やかに(連続的に)起こるとする従来の認識は再考する必要がある。特に、Li_2Ge_4O_9組成液体では約1GPaの圧力範囲内で構造変化が完了していることから実験における温度分布、圧力分布を考慮すると一次の構造相転移の可能性も考えられる。一方、高温高圧液体の密度や粘性といった物性測定を行うためのX線ラジオグラフィー実験技術の開発も行った。HIPによる反応合成を利用することで、大型のDiamond/SiCアンビルを作製し、これを用いた高温高圧発生実験を行った。放射光実験を用いたX線回折実験を行った。ラジオグラフィー実験等の可能性も踏まえ、ダイヤモンド/SiC 4個とWC4個を試料部がアンビルを通して見えるように組み合わせた構成を用いた。20GPa・1500℃程度までの条件でX線回折実験がルーチン化できた。この程度の条件であれば、ブローアウトがなければ、アンビルを繰り返し使えることも確認された。さらに、26mm角の超大型アンビルのHIP合成にも成功しており、今後の放射光実験での利用が期待される。
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