研究概要 |
1.高圧X線トポグラフィ法の開発: マントル高圧結晶のレオロジーと相転移の研究のために,放射光と川井型マルチアンビル高圧装置を組み合わせた高圧X線トポグラフィ法を開発した.その方法は単結晶試料を高圧セル中央に置き,ガイドブロックやアンビルの隙間を透過した結晶からの白色ラウエスポットをX線CCDカメラで観察/録画する.到達温度/圧力はまだ低い(2-3GPa, 300-500C)ものの,高温高圧下でのライブトポグラフィ像を得ることに成功した.ただし課題はまだ沢山あり,より高い分解能のカメラとトポグラフィ法には適した小型高圧装置を放射光施設に導入することが必要である. 2.高圧下でのトポグラフイ像の観察: 石英,オリビン,TiO2などの結晶について観察を行った.最初の室温での数十トンまでの加圧時にスポットが広がることが観察された.その後の加熱時にこのスポットは大体元の大きさに戻った.これらはそれぞれ応力の増加と温度による応力の緩和によると考えられる.さらに定温でのより高い圧力への昇圧の過程では急速にスポットが大きく広がっていくことが観察された.回収された試料は多結晶化されており,応力のために多結晶化したと考えられる.今後応力をよく制御する方法の開発が必要不可欠である.本方法は単結晶の欠陥や相転移をその場で観察できる数少ない方法の1つであり,今後さらに発展させることが必要である.またダイヤモンドアンビル装置(DAC)の利用も検討すべきであろう.
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