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2006 年度 実績報告書

有機物の衝撃反応に関する基礎的研究とその宇宙化学的応用

研究課題

研究課題/領域番号 16340172
研究機関名古屋大学

研究代表者

三村 耕一  名古屋大学, 環境学研究科, 助教授 (80262848)

キーワードIOM / D / ^<13>C / 衝撃波 / 脱ガス / 有機物 / マーチソン隕石
研究概要

マーチソン隕石から精製した不溶性有機物(insoluble organic matter : IOM)の衝撃回収実験を行い、回収試料中の水素と炭素の存在度ならびに同位体比を測定した。さらに、それらの測定結果と比較するために、石炭から精製したケロジェンの衝撃回収実験も行い、水素と炭素の存在度ならびに同位体比を測定した。
IOMとケロジェンはどちらも衝撃にともなって脱水素と脱炭素を起こした。ケロジェンは脱ガス時にHと^<12>Cの軽い同位体が優先的に放出されるのに対して、IOMではDと^<13>Cの重い同位体が選択的に放出されることが明らかになった。そのケロジェンからの同位体の選択的な放出は同位体効果によって説明できるが、IOMのそれは説明できない。よって、このIOMからの選択的な同位体放出はIOMの構造中の同位体の分布により引き起こされていると推測される。つまり、IOM中ではDと^<13>CはIOMの構造中心部の周辺部に不均一に分布しており、その中心部と弱い結合で結びついているのかもしれない。
衝撃による同位体挙動を詳しく調べるため、ケロジェンとIOMの段階加熱実験(Kerridge 1983, Kerridge et al.1987)を比較・検討した。同位体挙動については段階加熱実験も衝撃実験も同様であり、ケロジェンはHと^<12>Cが優先的に放出するのに対して、IOMではDと^<13>Cが選択的に放出することが分かった。これは、IOM構造中で重い同位体が不均一に存在するという考え方を強く支持すものである。さらに、水素について、衝撃脱ガスは段階加熱脱ガスよりも少ない脱ガス量で多くのDを放出することも明らかになった。これは、IOMからのDの選択的放出が衝撃反応の特異性(衝撃による瞬時の圧力上昇にともなう温度上昇、その後の急激な圧力減少にともなう温度低下というダイナミックな温度・圧力変化)に深く関係している可能性があることを示唆する。
衝撃現象が宇宙空間で普遍的なものであることを考えると、太陽系の進化において、衝撃は有機物中の水素同位体組成に大きな影響を与えてきたと思われる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2007

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] Selective release of D and ^<13>C from insoluble organic matter of the Murchison meteorite by impact shock2007

    • 著者名/発表者名
      Mimura K., Okamoto M., Sugitani K., Hashimoto S.
    • 雑誌名

      Meteoritics & Planetary Sciences 42

      ページ: 347-355

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より

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公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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