周期的に変化する電流は、周辺に電磁波を放射することができる.プラズマ中を伝播する電子プラズマ波は、電子密度の平方根に比例した振動を伴い、その周波数領域を現在盛んに研究されているテラヘルツ領域にすることは可能である.特に、超短パルスレーザーをガス中に集光すると、レーザーは自己電場によってプラズマを生成しながら伝播し、その後方にはレーザー航跡場と呼ばれる電子プラズマ波を励起することになる.そこに発生する電場は、GV/mのオーダーとなり、その振動によって発生する電磁波の出力はMWからGWクラスになると考えられている.このような高強度のテラヘルツ電磁波源は、工学的応用の観点からも興味深い. 実験では、上記の超短パルスレーザーをガス中に集光し、そこから発生する電磁波を観測した.観測された電磁波は、最大周波数300GHz、パルス幅200psのパルス電磁波であった.電磁波は、プラズマを中心に中抜けのコーン状であり、その偏向方向は径方向であった.このような電磁波の発生には、レーザーによって生成されたプラズマからポンデロモーティブ力によって電子が径方向に排除され、残ったイオンによる電場による電子の振動運動に起因すると考えることができ、プラズマを導波管と考えると、そのモードはTMO1モードになることが予測される.これらをもとにモデル化し、その計算を行った.計算結果は、中抜けのコーン状となり、また周波数が高いほど電磁波の放射角度が浅くなることも実験結果と一致を見た. 今後は、発生電磁波の周波数の高周波化と高強度化を行う予定である.
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