研究概要 |
我々は,アルゴンをプローブ粒子とするレーザー誘起蛍光減光法により,プラズマと電極の間に形成されるシース電界を3V/cmの世界最高感度で検出することに成功している。しかしながら,この測定法は2台のパルス波長過変レーザーを用いるために極めて高コストであり,実験技術としても難しい部類に属する。本計画は,アルゴンをプローブ粒子とするレーザー誘起蛍光減光法を低コスト化および高性能化し,その汎用性およびデータ収集効率を向上することを目的としている。低コスト化の方法として,レーザー光源を半導体レーザーに置き換えることを計画した。ただし,市販の半導体レーザーの波長の制約から,従来の励起・観測スキームを見直し,青色および赤外半導体レーザーの組み合わせによって可能な新しい励起スキームを考案した。計画の初年度である平成16年度は,まず,実験で用いる半導体レーザー装置を整備した。青色半導体レーザーを用いたレーザー誘起蛍光計測は世界的にもあまり実績が無いが,準安定状態アルゴン原子によるレーザー誘起蛍光信号を十分なS/N比で検出することに成功した。次に,赤外半導体レーザーと組み合わせてレーザー誘起蛍光減光信号の検出に挑戦しているが,現在までのところ優位な結果は得られていない。その原因として,連続発振レーザーを用いた場合減光信号が過渡的にしか得られない可能性をレート方程式解析によって見出し,現在,その検証のため,リモート型アルゴンプラズマを用いた実験を遂行している。また,励起・観測スキームを確立されている従来の方法(赤色および緑色レーザーを用いる)に戻し,レーザー光源の一台のみを半導体レーザー化する方法についても実験的検証を行う予定である。
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