研究課題
本研究の目的は、プラズマの閉じ込めに関与する径方向電場分布を原子のシュタルク効果により直接計測可能な計測システム開発のために、レーザー誘起蛍光(LIF)偏光分光法の適用限界を電子密度と磁場の影響に焦点を絞り、実験的に明らかにすることである。本年度は主として電子密度と励起原子のディスアラインメントとの相関の解明を目標とした。以下に結果をまとめる。1)プラズマ装置にヘリウムガスを導入し、ペニング放電により低ガス圧(10mTorr)下で電子密度が10^<10>cm^<-3>〜10^<11>cm^<-3>程度のヘリウムプラズマを生成した。これらのプラズマパラメータはプローブにより決定した。2)プラズマ中の準安定ヘリウム原子を、電気四極子遷移を通じてレーザー励起し、誘起される蛍光の直線偏光成分の時間発展を磁場に直交した方向より観測した。3)放電電流の増加(ガス圧は一定)とともに偏光度の減衰が大きくなることが観測された。この増大は、ガス圧が一定に保たれていることから、原子衝突ではなく電子衝突に起因するものであると考えられる。4)LIFの直線偏光成分から、ディスアラインメントレートの放電電流への依存性を求めた。このリニアープロットから10mTorrの場合の原子衝突によるディスアラインメントを決定し、電子衝突によるものを分離した。このようにして得られた電子衝突によるディスアラインメントレートは放電電流に比例することが確認された。5)レーザー誘起蛍光過程に関する時間依存CRモデル計算により、本LIF法を適用して電場を決定する上で、上限となるディスアラインメントレートの値は約1.0×10^8s^<-1>であることが示された。6)以上の結果から、本LIF法を適用できるプラズマの電子密度の上限は1.5×10^<12>cm^<-3>程度と推定された。
すべて 2006 2005
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Plasma Devices and Operations 14・1
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