研究課題/領域番号 |
16350003
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
竹内 英夫 東北大学, 大学院・薬学研究科, 教授 (30111454)
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研究分担者 |
三浦 隆史 東北大学, 大学院・薬学研究科, 講師 (30222318)
外山 聡 東北大学, 大学院・薬学研究科, 助手 (60217560)
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キーワード | タンパク質 / カチオン-π相互作用 / 構造 / 円偏光二色性 / ニューロメディン / ウイルス / イオンチャネル |
研究概要 |
タンパク質の構造を決める因子の一つとして、正電荷とπ電子との間の相互作用、いわゆるカチオン-π相互作用がある。His残基のイミダゾール側鎖は中性型からカチオン型に変わった時だけπ電子系と相互作用できるようになるため、タンパク質の機能と密接に関連した構造変化を制御する上で役立つと考えられる。本研究では、His残基によるカチオン-π相互作用に焦点を絞り、1)相互作用を分光学的に検出する方法の確立、2)相互作用が可能なアミノ酸配列(相互作用モチーフ)の探索、3)相互作用によるタンパク質の構造制御機構を明らかにすることを目的に、以下の実験・解析を行なった。先ず、タンパク質中に出現可能なカチオン-π相互作用のパターンを見出すために、Protein Data Bankに登録されているタンパク質の原子座標データを基に、His残基と芳香族アミノ酸残基が近い距離にある場合を抜き出して分類した結果、Trp-X-X-X-His型のアミノ酸配列が相互作用モチーフの候補として上がってきた。生理活性ペプチドであるニューロメディンBは、上記のアミノ酸配列を含むため、先ず、このペプチドを対象として、Hisのカチオン化とペプチドの二次構造の関連を種々の条件下で円偏光二色性を測定して精査した。その結果、親水性環境下では有意な構造変化は観測されなかったが、疎水性環境下では、Hisのカチオン化と同期して、ペプチドの二次構造がα-ヘリックスへと部分的に変化することが確認された。このことは、ニューロメディンBが膜タンパク質である受容体と結合する際、カチオン-π相互作用が重要な役割を果たす可能性を示唆するものである。B型インフルエンザウイルスのBM2タンパク質についても、His-Trp間のカチオン-π相互作用がイオンチャネル形成に果たす役割を調べるために、リポソーム中にBM2を埋め込む方法を確立した。
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