研究課題/領域番号 |
16350003
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
物理化学
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
竹内 英夫 東北大学, 大学院薬学研究科, 教授 (30111454)
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研究分担者 |
三浦 隆史 東北大学, 大学院薬学研究科, 助教授 (30222318)
外山 聡 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教授 (60217560)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2006
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キーワード | タンパク質 / カチオン-π相互作用 / ニューロメディン / 蛍光スペクトル / 紫外共鳴ラマンスペクトル / インフルエンザ / ウイルス / イオンチャネル |
研究概要 |
正電荷とπ電子との間の相互作用、いわゆるカチオン-π相互作用が、タンパク質の構造形成と機能発現時の構造ダイナミックスに及ぼす影響を、円偏光二色性、蛍光、紫外共鳴ラマン散乱の各種分光法を用いて検討した。対象としたペプチドは、His^+-Trp間のカチオン-π相互作用を行なう可能性があるニューロメディンB、ニューロメディンC、および、B型インフルエンザウイルスのBM2タンパク質の膜貫通領域BM2-TMPである。その結果、カチオン-π相互作用は、ニューロメディンBやニューロメディンCの2次構造を制御できるほど強くはなく、構造形成への貢献は大きくないことが分かった。しかし、His^+-Trp間のカチオン-π相互作用が、脂質膜中に埋め込んだBM2-TMPの形成するプロトンチャネルの開閉を制御することが明らかになり、このことから、カチオン-π相互作用は、一旦形成された構造をわずか変化させ、タンパク質の機能発現を制御する過程においては、重要な役割を果たし得ると結論された。また、本研究の過程において、Cu^<2+>がTrp側鎖とカチオン-π相互作用を行う場合は、吸収スペクトルのシフトと強度変化だけでなく、CDスペクトルにも特徴的な負のシグナルが生じることも見出した。このCDシグナルは、Cu^<2+>とTrp側鎖の間のカチオン-π相互作用を検出するための新たなマーカーとして有用であると期待される。BM2-TMPが形成するイオンチャネルの場合に見られたように、カチオン-π相互作用がタンパク質の機能発現時の構造ダイナミックスに大きな影響を与えることは、他のタンパク質の場合も十分考えられる。今後、幅広い種類のタンパク質について、このことを検証する必要があるが、その手がかりが本研究で得られた。
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