研究課題/領域番号 |
16350006
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
西川 恵子 千葉大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (60080470)
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研究分担者 |
齋藤 健一 千葉大学, 理学部, 助手 (80302579)
森田 剛 千葉大学, 大学院・自然科学研究科, 助手 (80332633)
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キーワード | 超臨界流体 / 超臨界水溶液 / 水素結合 / 密度ゆらぎ / 濃度ゆらぎ / 小角X線散乱 / 近赤外吸収スペクトル / 水和構造 |
研究概要 |
亜臨界・超臨界水および混合系について、ゆらぎ構造の情報を得るためには小角X線散乱実験が最も直接的な情報を与える。また、近距離の構造の情報は、EXAFS実験が有用である。これらの実験を行うため、温度・圧力・濃度の3種のパラメータを系統的に変え、小角X線散乱実験およびEXAFS実験両方に共有できるサンプルホルダーを完成させた。 水-メタノールの亜臨界状態について、小角X線散乱実験より密度ゆらぎおよび濃度ゆらぎを求めることに成功した。常温・常圧の水-メタノール系と濃度ゆらぎは変わらず、亜臨界・超臨界状態で特有な密度ゆらぎだけが増加することを見出した。この試料での亜臨界状態の水素結合ネットワークは、常温・常圧のそれと変わりが無いと結論される。 水素結合の形態(注目する水分子が隣の水分子と水素結合をつくらないか、1つの結合か、2つ結合か)を調べるのに、近赤外吸収スペクトルが有効である。このための装置を立ち上げた。通常の塩の水溶液(常温・常圧)で塩濃度の変化に伴う水素結合数の変化を定量化に成功した。次年度は、亜臨界・超臨界状態の試料に発展させていく予定である。準備として超臨界水およびその溶液を試料とした近赤外吸収スペクトルの試料セルを設計・試作した。超臨界流体領域では、密度を数十倍変化させてスペクトルの収集が必要である。このため、高温・高圧状態のままサンプル長を変化させる機構が必要である。本体は、耐腐食性で、かつ窓(サファイア製)と熱膨張率の近いチタン製とし、チタンとサファイアの銀ロウ付けでの溶接法の開発を試みているが、超臨界水の過酷な条件ではリークが生じ、近赤外用試料セルの開発はまだ成功に至っていない。
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