研究課題
基盤研究(B)
今年度は、高温高圧条件下で高速時間分解蛍光スペクトルを測定するためのシステムとして、光カーゲート法による蛍光スペクトル測定システムの開発を中心に研究を進めた。現有のチタンサファイアアンプ内蔵型フェムト秒レーザーを光源として、その基本波(776nm)の倍波を蛍光励起用の光源とし、発生した蛍光を2枚の放物面鏡でカー媒体に集光した後、スペクトルメータにとりつけたCCDカメラで検出した。ゲート光がカー媒体に入らない状態で、蛍光は米路上におかれた二つのポラライザーをクロスニコルに配置することで原則的に遮断し、ゲート光(レーザーの基本波)がカー媒体を透過するときのみ蛍光が検出されるように、光学系を組んだ。二硫化炭素をカー媒体として、カーゲートによる時間分解蛍光の検出に成功した。現在システムの調整を進めており、今後カー媒体をガラスなどの高速応答の物質に変更してシステムのパフォーマンスの向上をはかる予定である。また、超臨界水と比較対照するシステムとしての超臨界二酸化炭素などの常温の超臨界流体中での分子のエネルギーダイナミクスの測定を過渡回折格子法によってすすめた。アズレン分子を対象にした研究では、溶質溶媒分子間のエネルギー移動のモードが超臨界流体の種類によって大きく変化することを明らかにした。また超臨界水と別の意味で比較されるイオン液体中での溶媒和の状態をラマン分光によって検討し、ジフェニルシクロプロペノンのC=C二重結合とC=二重結合の振動モードの溶媒依存性を調べることにより、種々のイオン液体のアクセプター数を評価することに成功した。
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Chemistry Letters 34・(3)
ページ: 338
Ultrafast Phenomena XIV, 2005 (in press)