• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2006 年度 実績報告書

エネルギーダイナミクスからみた超臨界水の特異性の解明

研究課題

研究課題/領域番号 16350010
研究機関京都大学

研究代表者

木村 佳文  京都大学, 国際融合創造センター, 助教授 (60221925)

キーワード超臨界水 / 超臨界アルコール / 光カーゲート / 時間分解蛍光測定 / 振動緩和 / ニトロアニリン / ラマン分光 / ペリレン
研究概要

今年度は水素結合性の超臨界流体である超臨界メタノール中でのペリレンの振動緩和過程を光カーゲート法による時間分解蛍光測定により評価した。まず、ペリレンの蛍光スペクトル形状の振動余剰エネルギー依存性を調べるために、衝突頻度のすくない気相蒸気において、ナノ秒のレーザーを用いて種々の励起波長で蛍光スペクトルを測定した。その結果、スペクトル形状はアズレンやナフタレンの場合と同様、振動余剰エネルギーが大きいほどスペクトル構造がなくなる傾向を示した。一方、光カーゲート法で、540Kの温度条件で種々の圧力でのメタノール中でのペリレンの時間分解蛍光スペクトルを測定した。光励起後の初期過程におけるスペクトルの形状変化を気相での振動余剰エネルギー依存性と対応させることにより、種々の圧力条件下での振動緩和速度を決定することに成功した。その結果、換算密度0.7から2.1程度の領域において振動緩和速度の密度依存性は非常に小さく、常温常圧での緩和速度と比較して5倍程度遅くなっていることがあきらかとなった。これは、溶媒分子間の水素結合数の変化と類似の傾向である。同様の実験を超臨界シクロヘキサン、超臨界水で試みたが、分解等の問題により現時点では成功していない。
また、超臨界水や超臨界アルコール中での溶媒和に振動スペクトルの観点から検討を加えた。パラニトロアニリンを用いた測定では、N02伸縮振動は溶媒の極性に応答して変化するが、NH2の伸縮振動では溶媒の水素結合数の変化と非常によく相関して変化することが明らかとなった。
以上の結果より、水素結合性の超臨界流体においては、溶質溶媒分子間の水素結合のかかわる相互作用は溶媒分子間の水素結合数の変化に強くカップルしていることがあきらかとなった。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2007 2006

すべて 雑誌論文 (4件)

  • [雑誌論文] Photo-excitation dynamics of malachite green in ionic liquids studied by the transient grating method2007

    • 著者名/発表者名
      M.Fukuda, O.Kajimoto, M.Terazima, Y.Kimura
    • 雑誌名

      Ultrafast Phenomena XV (in press)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [雑誌論文] Application of the transient grating method to the investigation of the photo-thermalization process of malachite green in room temperature ionic liquids2007

    • 著者名/発表者名
      M.Fukuda, O.Kajimoto, M.Terazima, Y.Kimura
    • 雑誌名

      Journal of Molcular Liquids 134

      ページ: 49

  • [雑誌論文] Resonance Raman study of the solvation of p-nitroaniline in supercritical water2006

    • 著者名/発表者名
      T.Fujisawa, M.Terazima, Y.Kimura, M.Maroncelli
    • 雑誌名

      Chemical Physics Letters 430

      ページ: 303

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [雑誌論文] Study on the vibrational energy relaxation of p-nitroaniline, N,N-dimethyl-p-nitroaniline and azulene by the transient grating method2006

    • 著者名/発表者名
      Y.Kimura, M.Fukuda, O.Kajimoto, M.Terazima
    • 雑誌名

      Journal of Chemical Physics 125

      ページ: 194516

URL: 

公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi