Pd13クラスター、Pt13クラスター及びそれらのPtPdコアシェル構造13クラスターの電子状態について検討を行った。Pdクラスターの表面電荷は殆ど0に近い結果が得られたのに対して、Ptクラスターでは-0.2程度の値が得られた。これらの結果は、金クラスターで得られた表面電荷に比べると非常に小さいものであることが明らかになった。それに対して、Pd/Ptコアシェル構造を有する13クラスターでは、表面にどちらの元素種が来るかで大きな差異が生じた。Pd12個が表面にある場合では電荷の分極がPd13クラスターよりも小さくなり、逆にPd12個が表面に来る場合には、Pt13クラスターよりも表面電荷が大きくなるという非常に興味深い結果が現れた。これは主にPtとPdのdバンドのエネルギー準位の位置の違いに起因する結果であり、これを元に電荷の分極が制御されることを明確に理解することが出来た。 金クラスターと水分子の相互作用について、Au10クラスターを元に検討したところ水分子は、金クラスターの電子状態が負に帯電、中性、正に帯電したいずれの状態に対しても比較的強く表面に吸着することが明らかになった。もっとも強く水分子を吸着するのは正に帯電した場合であるが、負に帯電した場合と中性の場合では大きな差は見いだせなかった。それに対して、中性と負に帯電した場合には酸素分子は金クラスターに吸着するが、正に帯電した場合には酸素分子は金クラスターに安定に吸着する状態は得られなかった。このような結果が金クラスターのCO酸化活性の水分添加効果に寄与していると考えられる。
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