液体パラ水素の高圧条件下(400barまで)での液体領域での温度において、定温・定圧アンサンブルに対する経路積分セントロイド分子動力学(CMD)シミュレーションを行った。水素分子間相互作用のモデルは、従来CMDに使用し高い信頼性を証明したSilvera-Goldmanポテンシャルを用いた。シミュレーションは分子数500、Feynmanビーズ数(Trotter分割数)は100にとった。時間可逆性が保障されたRESPAアルゴリズムによるon-the-fly法に従ったnormal-mode CMD法によって、分子のセントロイドの実時間発展とFeynmanビーズの空間分布を計算した。この計算プログラムはMPI並列化にチューニングした。はじめにシミュレーション結果から各種熱力学関数、分子の空間分布関数といった静的諸量を計算、実験値と比較し、計算が適切に行われたことを確認した。計算されたトラジェクトリーから、各圧力における動的構造因子を計算し、欧州の中性子実験グループが得た実験データとの比較照合を行った。400barまで圧力を上げると、液体が固化の方向に向かい、動的構造因子にも異常なピークが現れることが明らかになった。 また一方、常流動ヘリウム4(液体ヘリウムI)も液体水素と同様に定温・定圧アンサンブルのCMDのプログラムを開発した。ヘリウム分子間相互作用に対しては、1992年のAzizのポテンシャルを用いた。このプログラムのPHI並列化に着手した。
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