研究概要 |
本年度ははじめに反応に用いる金属内包フラーレンの大量合成を行った。金属内包フラーレンとしてはM@C82-A, B(A, Bは異性体を表す。)とM2@C80,Sc3N@C80の大きく三種類のケージ構造を有する金属内包フラーレンを大量合成し、1)ケージ構造の違いによる反応性の違い、2)内包金属の違いによる反応性の違い等を検討した。また、内包金属としては、M=La, Ceを用い、アーク放電法により、金属内包フラーレンを大量に合成した(赤阪担当)。この金属内包フラーレン類の大量分離に電解による金属内包フラーレンの新規分離法を用いた。(土屋担当)この方法により短時間で多くの金属内包フラーレンの分離が可能となった。合成した金属内包フラーレンについて、反磁性の金属内包フラーレンについては13C NMR等の測定及びX-線結晶構造解析等によりその構造を明らかにした。 また、M@C82のようにケージ上にスピンを有する常磁性金属内包フラーレンについては化学還元法により反磁性化した後に、13C NMR等の測定により構造決定を行った(前田担当)。さらに13Cをエンリッチした金属内包フラーレンアニオンを合成し2次元のNMR測定により内包金属の位置に関する情報を得ることができた。合成した金属内包フラーレンについてケイ素化合物との反応を検討した(赤阪担当)。金属内包フラーレン及びそのケイ素誘導体について理論計算を行い、その構造や物性を明らかにした(永瀬担当)。
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