研究課題/領域番号 |
16350023
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
瀬恒 潤一郎 神戸大学, 理学部, 教授 (10117997)
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研究分担者 |
LINTULUOTO J・M 神戸大学, 大学院・自然科学研究科, 助手 (20379481)
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キーワード | ポルフィリノイド / オクタフィリン / 分子認識 / 不斉反転 / 光学活性カルボン酸 / 円二色性分散 / 誘起CD / 不斉センサー |
研究概要 |
生体関連物質の分子認識に関する基礎的知見を蓄積するとともにその応用の可能性を提示する事を目的として、アミノ酸や糖のキラリティーを可逆的に転写することのできる新しい分子システムの開発を進めている。このような分子を開発することにより、その相互作用をゲスト分子に固有のスペクトル領域の枠外、即ち、可視領域で観測することが可能となる。このことは、種々の生体分子が混在する生体系において、特定のゲストを鋭敏に検知できるという点で有益である。平成17年度はこれまでに合成した拡張ポルフィリン系分子システムの分子キラリティーの可逆的変換に関する速度論的検討を行った。コアとなるオクタフィリンπ電子系に導入される置換基の位置により、分子キラリティーの変換速度が大きく影響されることを見いだした。次に、アミノ酸誘導体を含む光学活性カルボン酸によって拡張ポルフィリン系分子システムがプロトン化を受け、可視吸収スペクトルが大きく変化すると同時に、その可視吸収バンドの位置に誘起CDシグナルを与えることを見いだした。拡張ポルフィリン系分子がプロトン化されるだけではポルフィリンπ電子系に不斉は見られない筈であるので、共役塩基であるカルボキシレート部の不斉がπ電子系に転写されたことを示している。種々のカルボン酸を用いてその構造と誘起CDシグナルの形状との相関についてデータの蓄積を行った。例えば、マンデル酸の鏡像体を用いることにより、誘起CDシグナルは反転することも確認した。特に、プロトン化を受けるピロール窒素部分から遠く離れたメソ位フェニル基上の置換基が大きなセンシング活性に大きな効果を示すことを見いだした。
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