研究課題
昨年度に引き続き、PD架橋反応の速度と反応選択性の検討を行った。ジアゾエステルとフェノール類を架橋した基質にロジウム触媒を作用させると、OH挿入とプフナー反応の選択性が架橋部の立体化学と触媒の種類により制御できることを見いだし、速報として報告した。また、反応速度の置換基効果を詳細に検討し、分子内反応速度が芳香族基の置換基に依存しない、高速反応であることを証明した(論文投稿中)。さらに昨年分子内付加反応の活性化エネルギーを10キロカロリー以下と決定した高速ラジカル付加反応に置換基を組み込んで、ラジカルを安定化し、分子内反応速度を抑制した。その結果、10%程度であった立体選択性は99%以上まで向上し、コンフォメーション変化に起因するCurtin-Hammettのボーダーラインを挟んだ立体選択性の変化であることを決定した。本年度は最終年度であることから、これまで行ってきた反応系の詳細の決定と測定データの精密化も行った。その結果、本計画を開始するきっかけとなったPD架橋ケテン・オレフィン付加の立体選択性に強い構造依存性が見いだされた。すなわち、オレフィン部が環状、α置換鎖状の場合は従来通り95%以上の立体選択性があるのに対し、α無置換の場合は10%程度と下がることがわかった。この低い選択性もまた温度依存性がほとんど無く、-50度から270度までほとんど変化しない。立体異性体を生成する中間体が異なることまでは決定したが、その違いを生む機構に関しては解決できず、本年度以降の課題として残った。
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Chemistry Letters 36,2
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