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2004 年度 実績報告書

チアカリックスアレーンを配位子とする特異な金属反応場の構築

研究課題

研究課題/領域番号 16350035
研究種目

基盤研究(B)

研究機関東京理科大学

研究代表者

干鯛 眞信  東京理科大学, 基礎工学部, 教授 (60011011)

研究分担者 鈴木 俊彰  理化学研究所, 候有機金属化学研究室, 先任研究員 (20332257)
キーワードチアカリックスアレーン / ルテニウム / ロジウム / イリジウム / ニオブ / チタン / モリブデン / 窒素固定
研究概要

チアカリックスアレーン(TC4A(OH)_4,1)は複数の金属に同時に配位することが可能であり、それらの金属の相互作用によりこれまでにない特異な反応を促進させることや、芳香環に囲まれた空孔に反応基質を取り込み金属上で反応させることにより選択性の向上も期待できる。すでに、1の4つのOH基をSH基に変換したTC4A(SH)_4,(2)のほか、独自に2つのOHをSH基に変換したTC4A(OH)_2(SH)_2(3)を合成し、1-3を[Cp^*MCl_2](M=Rh,Ir; Cp^*=C_5Me_5)と反応させることにより、それぞれ単核錯体[Cp^*M{TC4A(OH)_2(O)_2}]、二核錯体[(Cp^*M)_2{TC4A(S)_4}]、四核錯体[(Cp^*M)_2(Cp^*MCl_2)_2{TC4A(O)_2(S)_2}](4)を選択的に得、類似した構造を有していても反応性に大きな違いがあることを明らかにしている。
本年度は、特異な構造を有する四核錯体4の生成について詳細に検討し、二核錯体[(Cp^*MCl)_2{TC4A(OH)_2(S)_2}]および[(Cp^*M)_2{TC4A(O)_2(S)_2}]を経由して段階的に錯体4が得られることを明らかにした。また、種々のチアカリックスアレーン遷移金属錯体を合成し、その反応性について検討した。例えば、1-3と[RuCl_2L]_2(L=p-cymene)の反応を行うと、それぞれ[RuL{TC4A(XH)_2(X)_2}](X=O,S)、[{RuL}_2{TC4A(O)_2(S)_2}](5)が得られた。錯体5はチアカリックスアレーンの同じ側に2つのRuが取り込まれており、2つのRuにより反応基質を連続的あるいは同時に活性化することが期待されるため、プロパルギルアルコールのプロパルギル位置換反応([Cp^*RuCl(μ_2-SR)_2-RuCp^*Cl]が触媒活性を示すことが知られている)の触媒活性について検討したが、反応は進行しなかった。さらに、分子状窒素の固定を目的として、1とNbCl_5およびCpNbCl_4(Cp=C_5H_5)の反応により[(NbCl_3)_2{TC4A(O)_4}]および[CpNbCl_2{TC4A(OH)_2(O)_2}]を合成し、還元条件下での窒素配位錯体の合成を試みたが、生成には至らなかった。
一方、1とCpTiCl_3の反応により得られる[CpTi{TC4A(OH)(O)_3}]を[Mo(N_2)_2(PMe_2Ph)_4]と反応させることにより生成するTi-Mo二核錯体は、非常に興味深い構造を有しており、シクロペンタジエニル基が同時に2つの金属に配位している。これは、チアカリックスアレーンが多核金属錯体を合成するための有用な配位子であるばかりでなく、1つの反応基質を複数の金属により同時あるいは逐次的に活性化する反応場を供給するための優れた配位子となりうることを示している。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2004

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] Ti-Mo heterobimetallic thiacalix[4]arene complex containing an unusual α-agostic μ_2-η^5:η^2-cyclopentadienyl ligand2004

    • 著者名/発表者名
      Shin Takemoto
    • 雑誌名

      Chemical Communications 7号

      ページ: 838-839

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公開日: 2006-07-12   更新日: 2016-04-21  

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