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2005 年度 実績報告書

弱い相互作用に基づく金属錯体の構造誘導と機能発現

研究課題

研究課題/領域番号 16350036
研究機関関西大学

研究代表者

山内 脩  関西大学, 工学部, 教授 (70029643)

研究分担者 中林 安雄  関西大学, 工学部, 助教授 (70172385)
小谷 明  名古屋大学, 物質科学国際研究センター, 助教授 (60143913)
キーワード非共有性相互作用 / 金属錯体 / 分子会合体 / 酸化還元挙動 / ロイシンアルキル基 / CH / π相互作用 / 水素結合
研究概要

分子認識や反応性を左右する因子として,弱い相互作用の重要性は広く認められている.酵素における活性中心近傍の分子環境の影響はその顕著な例である.しかし,相互作用には様々な様式があるため,ある機能に対して影響を及ぼす弱い相互作用を特定することは,一般に困難である.本研究では,錯体の構造と酸化還元挙動を中心に,これらに影響を与える弱い相互作用の様式とその効果を明らかにすることを目的として,特に錯体分子内での配位子側鎖基が関与する相互作用,錯体分子と他分子との会合体形成などについて追究してきた.
本年度は,CH/π相互作用の研究に関連して,錯体における新しい弱い相互作用の存在を見出し,これを確立すべく実験事実を集積した.菌類からの銅酵素ラッカーゼのタイプ1銅部位は,異常に高い酸化還元電位を有し,銅(II)に接近してロイシン残基の側鎖アルキル基が存在する.そこで,銅(II)と接近したメチル基との間に何らかの相互作用の可能性があると考え,直鎖または分岐したアルキル基を側鎖に持つ3N型配位子を各種合成し,銅(II)錯体の合成,構造決定,スペクトルと酸化還元電位の測定を行った.この結果,適当な長さの分岐したアルキル基からのメチル基が結晶中で3-3.5Åにまで銅(II)に接近すること,このような構造を有する錯体は通常の錯体よりも高い酸化還元電位を示すことが判明した.金属イオンとメチル基C-Hの接近には,アゴスティック相互作用が知られているが,この相互作用はロジウム(III)のような電子不足の金属イオンと水素化物イオンとの結合と考えられている.本研究で見出されたCu(II)…H-Cの接近は,この相互作用とは異なるCH/π相互作用類似の水素結合と考えられ,さらにその詳細を検討している.
本研究結果の一部は第55回錯体化学討論会(新潟,平成17年9月)において発表した.

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2005

すべて 雑誌論文 (3件)

  • [雑誌論文] Synthesis and Properties of Triarylamine Derivatives with Coordination Site and Their Complexes2005

    • 著者名/発表者名
      M.Yano, K.Inoue, M.Miyake, T.Motoyama, Y.Azuma, M.Tatsumi, O.Yamauchi, M.Oyama, K.Sato, T.Takui
    • 雑誌名

      Polyhedron 24

      ページ: 2112-2115

  • [雑誌論文] Cyclopalladation of the Indole Ring in Palladium(II) Complexes of 2N1O-Donor Ligands and Its Dependence on the O-Donor Properties2005

    • 著者名/発表者名
      Y.Shimazaki M.Tashiro, T.Motoyama, S.Iwatsuki, T.Yajima, Y.Nakabayashi, Y.Naruta, O.Yamauchi
    • 雑誌名

      Inorganic Chemistry 44(17)

      ページ: 6044-6051

  • [雑誌論文] アミノ酸-金属錯体における弱い相互作用と生体系との関連2005

    • 著者名/発表者名
      山内 脩
    • 雑誌名

      Bulletin of Japan Society of Coordination Chemistry No.46

      ページ: 2-10

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公開日: 2007-04-02   更新日: 2016-04-21  

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