1.「らせん主鎖不斉のみに起因するピュアなラダーキラル二重らせん高分子」の構造の精査 らせん選択制御重合の機構の精査のために、この重合により得られる超分子ラダーキラル二重らせん高分子の構造の知見をより詳しく得るために、構造修飾を行いまた分解挙動の精査を行った。 (1)「らせん主鎖不斉のみに起因するピュアなラダーキラル二重らせん高分子」の構造修飾 超分子ラダー部分、つまり水素結合を介したらせん構造部分の共有結合化による安定化を試みた。例えば、ジメチルジクロロシランを用いた。この結果、極性溶媒に対する安定性が増した「らせん主鎖不斉のみに起因するピュアなラダーキラル二重らせん高分子」を得ることができた。このことから、らせん選択制御重合により得られる超分子ラダーキラル二重らせん高分子の構造(水素結合が重要である点)がさらに確かになった。 (2)「らせん主鎖不斉のみに起因するピュアなラダーキラル二重らせん高分子」の分解 このポリマーは特異な分解性を示すことを以前見出したが、これについて精査し、精製し、分子量や化学構造を調べた。その結果、環状三量体が高い転化率で生成することが分かった。このことから、らせん選択制御重合により得られる超分子ラダーキラル二重らせん高分子の構造(シスーシソイドに近いコンフォーメーション)がさらに確かになった。 2.「らせん主鎖不斉のみに起因するピュアなラダーキラル二重らせん高分子」の不斉認識能 以前、2座配位子を持つらせん主鎖不斉のみに起因するピュアなラダーキラル二重らせん高分子を用いてその不斉反応触媒能を調べたが、より効果を高めるため、2座配位子を持つらせん主鎖不斉のみに起因するピュアなラダーキラル二重らせん高分子の合成を行った。
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