研究課題/領域番号 |
16350063
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
高分子化学
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研究機関 | 千葉大学 (2006) 名古屋大学 (2004-2005) |
研究代表者 |
西田 芳弘 千葉大学, 園芸学部, 教授 (80183896)
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研究分担者 |
三浦 佳子 北陸先端科学技術大学院大学, マテリアルサイエンス研究科, 助教授 (00335069)
堀内 基広 北海道大学, 獣医学研究科, 教授 (30219216)
鵜沢 浩隆 産業技術総合研究所, バイオニクス研究センター, チーム長 (60356566)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2006
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キーワード | グリコサミノグリカン / 糖鎖 / 硫酸化糖 / プリオン / BSE / ヘパラン硫酸 / グライコミクス / モジュール合成 |
研究概要 |
ヘパラン硫酸は細胞外マトリックスとして細胞の増殖や分化に重要な役割をしている。また、正常プリオンから異常プリオン蛋白質への転移に係ると考えられているが、複雑な構造を持つことから明確な構造因子(鍵構造)を抽出することができなかった。本研究では、代表者らの糖鎖モジュール化法をグリコサミノグリカン類、特に、ヘパラン硫酸に適用して、構造が明確な硫酸化多糖を合成すること、さらに、合成品をプリオン感染細胞並びにモデルマウスを用いた生物試験に供して、抗プリオン活性を示すグリコサミノグリカンの活性糖の構造因子を明らかにすることを目的とした。その結果、以下のことを明らかにすることができた。 (1)各種硫酸化糖モノマー(モジュラー)を酵素と化学的手法を用いて合成する方法論を確立した。さらに、アクリルアミドのラジカル重合により、ポリアクリルアミド鎖にパラニトアミドフェニル基を介して複数の硫酸化糖が結合した人工ヘパラン硫酸を合成することができた。 (2)持続感染細胞を用いた評価で、ヘパラン硫酸の主要な構成糖である6-sulfo-GlcNAcの人工高分子に抗プリオン活性が確認された(ED_<50> 10Dg/ml)。硫酸基を持たないGlcNAcの高分子には活性が認められなかった(ED_<50>>80Dg/ml)ことから硫酸基が活性に必須であることが明確になった。4-sulfo-GlcNAcの高分子はさらに強い活性(ED_<50> 3-7Dg/ml))を示したこと、その一方で、3-sulfo-GlcNAcは弱い活性しか示さないことから、硫酸基の位置とN-アセチル基の空間配置も重要な因子となることがわかった。 (3)高分子化した6S-GlcNAcと4S-GlcNAcは再現性よく異常プリオンの産生を抑制した。特に非天然型の4S-GlcNAcを含む高分子に高い活性が認められた。同様の結果は長期投与試験においても確認することができた。N-アセチル基をもたない6S-Glcの高分子は長期投与試験でも活性を示さなかったが、4S-GlcNAc、6S-GlcNAcの高分子はそれぞれ6日目と9日目で細胞が異常プリオンを産生することをストップさせた。活性を示した両化合物は細胞膜表面の正常型プリオン蛋白質(Prp^C)を減少させる傾向を示した。しかし、顕著な細胞増殖抑制や毒性は認められなかったことから、人工グリコサミノグリカンを用いたプリオン治療法の開発に新たな可能性を提示することができた。
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