研究課題
近年、ウイルスに特異的なDNAの配列であるメチル化されていないCpG DNAを免疫系の細胞である抗原提示細胞に取り込ませて、細胞性免疫の活性する方法が注目を浴びている。しかし、CpG DNAそのものは生体で分解されやすく、デリバリーシステムの開発が不可欠である。そこで、SPGと核酸の複合体をこのデリバリーに応用することを目的として研究を始めた。すでに明らかにされている様に、シゾフィラン(SPG)は水素結合と疎水的相互作用によって、DNAと2:1の3重螺旋複合体を形成する。この複合体は培地中のDNaseによるDNAの加水分解を大幅に抑制するとともに、アルブミン等の血漿タンパクとDNAの非特異的吸着を抑制する。あらかじめs-SPGに修飾された細胞表面結合部位によって、s-SPG/DNA複合体はエンドサイトーシスにより細胞内に取り込まれる。たとえば、コレステロールを修飾したSPGとCpG DNAの細胞への取りこみでは、LDL受容体を介して細胞に取り込まれ、エンドソームへ移行する。後期エンドソームのベシクル内のpHは5程度まで低下することが知られている。pHが酸性側になると核酸塩基のプロトン化によって複合体が解離し、TLR9に認識されて免疫を刺激する。本年度は、おおくの抗原提示細胞に発現しているDectin1と呼ばれるパターンレコグニッションレセプターがβグルカンを認識して取り込むことを利用して、マクロファージなどに選択的にSPGが取り込まれることを明らかにしてきた。さらに、抗原タンパクをSPGにコンジュゲートすることで、抗原タンパク特異的にTh1誘導を行い、アレルギー等の治療薬になりうることを示した。
すべて 2007 2006
すべて 雑誌論文 (4件) 産業財産権 (1件)
Biomacromolecules 8
ページ: 1178
Bioconjugate Chem. 17
ページ: 1136
Macromolecules 39
ページ: 9480
Biomaterials 27
ページ: 1625