研究概要 |
本研究の目的は(1)これまでに構築したX線システムにコンフォーカルミラーを導入してビームの極小化、高輝度化を計り、現システムで実現の難しかった層内の秩序測定を可能にし、新規液晶相の構造を決定すること、(2)更に高速CCDとイメージインテンシファイア(以下I.Iと略す)を導入し、放射光でしか難しかった数ミリ秒オーダーの時分割X線測定を市販装置で可能とし、スメクティック液晶の動的挙動を評価することである。 初年度はコンフォーカルミラーを導入してビームの極小化、高輝度化を計った。所が当初市販X線装置の会社から聞いていた話とはかなり異なり、ミラー導入にはこちらで治具を自作する必要などがあり、最終的な選定にかなりの時間を要してしまった。 そこで昨年度までに構築したシステムでバナナ型液晶のB2,B3,B4相の層構造解析を行い、テラヘルツ分光での結果と照らし合わせ、B3相がX線的には結晶に非常に近いものの、テラヘルツ領域ではスメクティック液晶相であるB2相と非常によく似た運動性を持つことを明らかにし、Phys, Rev.Eに投稿、印刷中である。また、バナナ型液晶とアキラルな棒状液晶5CBの混合物でB4相が非常に広い混合比範囲で、非常に広い温度範囲を示すことを見いだし、その構造がは混合比を変えても変化しないことを見出した。この結果も現在Phys, Rev.Er apid com.に投稿中である。 来年度はI.IとCCDを導入し、動的挙動の測定を可能にするシステムを構築する予定でいる。
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