研究課題
本研究の目的は(1)これまでに構築したX線システムにコンフォーカルミラーを導入してビームの極小化、高輝度化を計り、実現の難しかった層内秩序測定を可能にし新規液晶相の構造を決定すること、(2)更に高速CCDとイメージインテンシファイア(以下I.Iと略す)を導入し、放射光でしか難しかった数ミリ秒オーダーの時分割X線測定を市販装置で行い、スメクティック液晶の動的挙動を評価することである。初年度はコンフォーカルミラーを導入してビームの極小化、高輝度化を計った。次年度はI.IとCCDを導入し、動的挙動の測定を可能にするシステムを構築を目指したが、納入に時間がかかってしまい、本年度になり測定が可能となった。最終年度は二量体屈曲型液晶の末端炭素鎖を変化させた時の相構造の変化について測定を行った。末端炭素数が増加するにつれ、分子長の半分が交互にインターカレートしたシングルレイヤー構造(炭素数6)から二次元的な周期構造をもつフラストレイヤー構造(炭素数8以上)に変化することがわかり、従来ダブルレイヤー構造を有すると考えられていた炭素数14以上の分子もフラストレイヤー構造であることがわかった。また(101)反射の(002)反射に対する強度比が炭素数の増加につれて増加していくことから、フラストレイトレイヤー構造は徐々にダブルレイヤー構造へと変わりつつあることもわかった。これについてはPhys.Rev.Eに投稿した。一方SmBPiso相という光学的等方相を有するキラル液晶化合物に関して、レーザー照射により選択反射色が変化することがわかっている。この変化における構造変化を見るため、パルスレーザーを照射し、そのパルスと同期させて時分割X線を測定して相構造変化の応答に関する測定を試みた。結果、反射色の応答時間は数msecということであったが、層間隔に対応すると思われるブロードな反射は数100msecの変化と遅いことがわかった。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (3件)
Jpn. J. Appl. Phys. 45
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