1.両親媒性ケトンの合成とそのミセル水溶液中でのOxone^<【○!R】>酸化反応の精査 それ自身が非イオン界面活性剤であるアルコールエトキシレートと3-ブテン-2-オンのMichael付加反応により、親水部末端にケトンを導入した両親媒性化合物を合成した。それらの臨界ミセル濃度や可溶化能力などの基本的な界面化学的特性を評価したところ、母体であるアルコールエトキシレートとほぼ同程度の数値を示した。次に、これらの両親媒性ケトンミセル水溶液中で、Oxone^<【○!R】>を酸化剤とする各種アルケン類のエポキシ化反応を行った。その結果、基質アルケンによってpH条件を制御する必要があるものの、極めて温和な条件下、短時間で非常に収率良く目的とするエポキシドが得られることが明らかとなった。この反応システムの特徴として、(1)反応の際は全く有機溶媒を使用しないので、過酸化物系酸化剤による爆発リスクから解放され作業安全性にも優れた方法である。(2)効率良く反応を促進するためには、両親媒性ケトンミセルの存在が必須である。(3)反応終了後、両親媒性ケトンは比較的簡単な操作で定量的に回収することができ、再使用も可能である。(4)両親媒性ケトンは触媒量でよく、母体のアルコールエトキシレートを主ミセル形成剤とする混合ミセル系でも効率良く反応が進行する、などの点が挙げられる。 2.過ホウ酸ナトリウム(SPB)を酸化剤とするミセル水溶液系反応の検討 Oxone^<【○!R】>よりもさらに安価で安全性の高い無機酸化剤としてSPBを選び、水不溶性スルフィド類の酸化反応を各種汎用界面活性剤ミセル水溶液中で行った。その結果、カチオン界面活性剤である臭化ドデシルトリメチルアンモニウムが、アニオン活性剤ドデシル硫酸ナトリウムや非イオン活性剤アルコールエトキシレート(C_<12>E_7)各ミセル系よりも、効率良く反応を加速することを初めて見出した。 3.Oxone^<【○!R】>酸化反応を加速する機能性高分子の探索 Oxone^<【○!R】>水溶液中での酸化反応加速剤として、反応終了後の回収・再利用の容易さの観点から高分子に着目し、ケトン部位を構造に組込んだ両親媒性樹脂をデザインした。具体的には、末端にケトン官能基を有するオリゴオキシエチレン鎖をポリスチレン主鎖にグラフトした不溶性樹脂の合成に成功した。
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