(1)シグナル増幅型遺伝子診断:細胞内診断に適用できる新しいシグナル増幅可能な遺伝子診断法としてriboregulator型核酸プローブを開発した。大腸菌のタンパク合成系を利用し、特定の遺伝子の存在下に特定の遺伝子(ルシフェラーゼ)を発現させるものであり、これにより、例えばHIV関連遺伝子を負fmolレベルで検出することが可能になった。 (2)グリコウイルスを用いた遺伝子運搬:エンドサイトーシスのサイズの効果を詳細に検討するためにCdSe量子ドットを糖クラスターで覆った15nmの量子ドット糖コンジュゲート(glycoQD)を作成し、50nmのウイルスサイズが最適であることが明らかになった。肝細胞への遺伝子ターゲティングのために部分的(8残基のうち3個)にガラクトース置換したグリコウイルスを作成した。このものは単量体(〜40nm)として存在し、高い活性と肝細胞指向性を示した。グリコウイルスの有効性はsiRNAの運搬においても顕著であることが分かった。 (3)サイズ制御に基づく制癌剤の活性向上:薬物を何らかの方法で50nm領域に複合化できればサイズ許容のエンドサイトーシスにより細胞取り込みが可能となろう。このような戦略から制癌剤の複合化を検討し、乳癌や骨そそう症の治療にも用いられるイバンドロネートなどのビスリン酸系制癌剤とグリコクラスターのサイズ制御錯形成を遣唐使、その活性(細胞死滅活性)を著しく増強させることに成功した。
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