研究課題/領域番号 |
16350093
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
小松 晃之 早稲田大学, 理工学術院, 助教授 (30298187)
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研究分担者 |
黄 宇彬 早稲田大学, 理工学術院, 講師 (20386725)
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キーワード | 蛋白質 / 生物無機化学 / バイオテクノロジー / 生体系類似化学 / アルブミン・プロトヘム / 遺伝子組換えアルブミン / 合成ヘム蛋白質 / 酸素錯体 |
研究概要 |
本研究は、ヒト血清アルブミンのヘムポケット内部にヒスチジンを変異導入した組換えアルブミンを合成し、プロトヘム誘導体を軸配位により固定、従来に類例のない酸素輸送合成ヘム蛋白質(アルブミン-プロトヘム錯体)を創製することを目的とする。 第二年次も、計画に沿った展開を実施し、以下に示す成果を得た。(1)ヘムポケット内部に変異導入したヒスチジン(近位塩基)が中心鉄に軸配位することを実証し、得られた組換えアルブミン-プロトヘム錯体が酸素を吸脱着できることを明確にしたので、さらに二重変異を加えることにより酸素錯体の安定度向上を図った。(2)他方、磁気円偏光二色性(MCD)スペクトル測定から、ヘム鉄の配位数、価数、スピン状態を詳細に解析した。 (1)近位塩基と遠位塩基の二重変異 安定酸素錯体の生成には、酸素配位座側に存在する遠位塩基の役割が重要である。分子シミュレーションからロイシン185を特定し、そこへ塩基性アミノ酸(アスパラギン、グルタミン、ヒスチジン)を変異導入した(小松)。可視吸収スペクトル、レーザーフラッシュホトリシスを用いて、プロトヘム錯体の酸素結合反応を解析した結果、アスパラギンを導入した系の酸素親和性が最も高いことを見出した。その効果をさらに明確にするため、Prof.Stephen Curry(海外研究協力者)とともに単結晶調製を開始した(小松)。 (2)配位酸素の電荷分極構造 酸素配位座近傍アミノ酸の修飾が配位酸素の電荷分極構造にどのような影響を与えるのかを明らかにするため、MCDスペクトルを測定、中心鉄の配位数、価数、スピン状態を解析した(小松、黄)。185位にヒスチジン、グルタミンを導入すると、ヘム鉄は鉄(II)6配位低スピン錯体を形成、アスパラギンの場合は鉄(II)5配位高スピン錯体となる。
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