研究課題/領域番号 |
16350093
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
小松 晃之 早稲田大学, 理工学術院, 助教授 (30298187)
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研究分担者 |
中川 晶人 早稲田大学, 理工学術院, 助手 (20348858)
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キーワード | 蛋白質 / 生物無機化学 / バイオテクノロジー / 生体系類似化学 / アルブミン-プロトヘム / 遺伝子組換えアルブミン / 合成ヘム蛋白質 / 酸素錯体 |
研究概要 |
本研究は、ヒト血清アルブミンのヘムポケット内部にヒスチジンを導入した組換えアルブミンを合成し、プロトヘム誘導体を軸配位により固定、従来に類例のない酸素輸送合成ヘム蛋白質(アルブミンプロトヘム錯体)を創製することを目的とする。第三年次も計画に沿った展開を実施し、予想を上回る成果を得た。 (1)三重変異体の合成と評価 安定酸素錯体の生成には、軸塩基配位子としての近位ヒスチジンはもちろん、酸素配位座側に存在するアミノ酸残基の役割がきわめて重要である。ロイシン185の位置ヘアスパラギンを変異導入すると、酸素親和性が増大することを見出したので、本年度はさらにロイシン182、アルギニン186の位置ヘヒスチジン、ロイシン、フェニルアラニンを導入した三重変異体を合成した。アルブミン・プロトヘム錯体を調製後、酸素結合パラメータを算出、186位への疎水性アミノ酸の導入が、酸素親和度を適度に下げることを明らかにした(小松、中川)。また、組換えアルブミンプロトヘムの単結晶を作成し、Prof.S.Curry(海外研究協力者)とともにX線結晶構造解析を実施(小松)。 (2)まとめ 三年間に得られた結果を総合し、アルブミンのヘムポケット(サブドメインIB)内アミノ酸置換により、本来酸素結合能はもちろん、補欠分子(ヘム)すら持たない単純蛋白質のアルブミンに、ヘモグロビンの酸素運搬能を付与する方法論を確立することができた(小松)。 (3)アルブミン・亜鉛プロトポルフィリンを光増感剤とする水の還元反応 これまでに得られた成果をさらに拡張し、鉄プロトポルフィリンを亜鉛プロトポルフィリンへ変換、得られたアルブミン'亜鉛プロトポルフィリン錯体の光励起状態を解析するとともに、これが水の光還元反応に有効な増感剤として作用することを見出した(小松) ユニークな水素発生システムとして、海外メディアに紹介された。
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