研究課題/領域番号 |
16350095
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
鳥本 司 北海道大学, 触媒化学研究センター, 助教授 (60271029)
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研究分担者 |
大谷 文章 北海道大学, 触媒化学研究センター, 教授 (80176924)
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キーワード | 半導体ナノ粒子 / 発光材料 / コア・シェル構造体 / ジングルベル型構造体 / シェル開口 / サイズ選択的光エッチング / テンプレート / 光化学特性 |
研究概要 |
シリカ被覆硫化カドミウムナノ粒子(SiO_2/CdS)に、サイズ選択的光エッチングを適用することにより、コアであるCdSサイズを選択的に減少させることができ、ジングルベル型構造を作製できる。本研究では、ジングルベル型SiO_2/CdS粒子のシェルに分子サイズの開口を形成させ、構造体の光化学特性に及ぼす影響を評価した。 CdSナノ粒子の表面に、3-メルカプトプロピオン酸(MPA)を結合させたのち、粒子表面の未修飾部分を3-メルカプトプロピルトリメトキシシランで化学修飾した後、加水分解処理を行い、コア・シェル構造粒子(MPA-SiO_2/CdS)を得た。 MPA-SiO_2/CdSの吸収スペクトルは、波長458nmの単色光照射にともない短波長側にシフトし、その吸収端は最終的に照射光波長とほぼ同じになった。光エッチング後のMPA-SiO_2/CdSのFT-IRスペクトルを観察すると、Si-O-Siに帰属される1100cm^<-1>付近のブロードなピークは光エッチング前後で変化しないが、1550cm^<-1>のMPAの-COO^-に由来するピークは光エッチングにより消失することがわかった。このことは、CdSの光エッチングにより、MPAは酸化脱離後もSiO_2シェル構造は保持されているが、分子サイズの開口が形成されることを示している。 光エッチング後のMPA-SiO_2/CdSの発光の強度は、メチルビオロゲン(MV^<2+>)を溶液中に添加することにより減少した。その度合いは、シェル開口を持たない構造体よりも顕著であった。これは開口を通してジングルベル型構造体内部にまでMV^<2+>が進入し、CdS粒子表面に直接吸着するため、効果的に励起電子を捕捉したためである。これらの研究から、SiO_2シェルに開口が形成されると、コアであるCdSナノ粒子の光化学特性が変化することがわかった。
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