我々はこれまでにシリカで被覆した硫化カドミウムナノ粒子にサイズ選択的光エッチングを適用することによって、シェルとコアの間に空隙をもつ新規ナノ構造体(ジングルベル型構造体)の調製に成功した。本研究では、シリカ薄膜をシェル、セレン化カドミウムナノ粒子をコアとするジングルベル型構造体(SiO2/CdSe)をガラス基板上に集積化させ、SiO2/CdSe集積膜を調製した。さらにこの薄膜にサイズ選択的光エッチングを適用し、その発光波長制御を試みた。 SiO2/CdSeにサイズ選択的光エッチングを適用したところ、いずれの波長の単色光をもちいても、光照射とともにCdSeナノ粒子の吸収スペクトルがブルーシフトし、最終的にその吸収端は照射光波長に一致した。このことから、CdSeナノ粒子の粒径制御にサイズ選択的光エッチング法が適用可能であり、さらに照射光波長を短くするにつれより小さな粒径のCdSeナノ粒子が生成することがわかった。光照射前のSiO2/CdSeはほとんど発光しなかったが、光エッチング後のCdSeナノ粒子は強いバンドギャップ発光を示した。また、発光の量子収率は、514nm単色光で光エッチングした場合には約2%であった。構造体のシリカシェルを形成させる際にガラス基板を共存させておと、Si-O-Siネットワークを介して、SiO2/CdSeがガラス基板上に積層され、SiO2/CdSeナノ粒子薄膜が形成された。この薄膜にフォトマスクを通して光照射することにより、部分的にサイズ選択的光エッチングを行った。紫外光照射下では、光エッチングされた部分のみが強く発光するために明瞭なコントラストを持つ発光像が観察でき、さらにその発光色は光エッチングに用いる照射光波長を変化させることにより制御できた。
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