研究課題/領域番号 |
16350097
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
臼井 博明 東京農工大学, 大学院・共生科学技術研究院, 教授 (60176667)
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研究分担者 |
佐藤 寿弥 東京農工大学, 大学院・共生科学技術研究院, 教授 (90092486)
田中 邦明 東京農工大学, 大学院・工学府, 教務職員 (30251581)
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キーワード | 蒸着重合 / 高分子薄膜 / 積層高分子 / 有機EL / ポリペプチド |
研究概要 |
高分子材料を従来のコーティング法で製膜すると、溶媒に起因する問題で積層構造や界面構造を十分に制御することは困難である。そこで本研究では、物理蒸着法を用いて無溶媒で高分子薄膜を積層することによって、安定かつ良く定義された高分子薄膜・界面構造を形成する手法を開拓し、これを有機発光デバイスの形成に応用した。特に電荷輸送機能部位としてテトラフェニルジアミノビフェニル、発光機能部位として燐光性イリジウム錯体を持ち、かつ重合性官能基で修飾したモノマーを開発し、熱アシストを併用した物理蒸着重合法で製膜した。その結果、重合性モノマーを蒸着重合すると、熱的安定性に優れた高分子薄膜が形成できることが示された。次に透明電極上に正孔輸送層および発光層を連続的に積層して層状重合膜構造を形成し、さらに一般的な電子輸送層および電子注入電極を蒸着して発光素子を作製した結果、蒸着重合膜を用いることで励起子が発光層内部にとどまり、発光効率及びスペクトルが改善できること、さらに素子寿命に顕著な改善が得られることなどが明らかとなった。 次に積層型蒸着重合を用いた新規領域の開拓として、全ドライプロセスによるポリペプチド薄膜形成を試みた。金表面にアミノアルカンチオールとNカルボキシ無水アミノ酸を順次積層することで、前者を重合開始及び基板・膜界面の結合層として、ポリペプチド重合膜が成長した。特にアミノアルカンチオールの製膜条件によって、ポリペプチド薄膜の成長過程が大きく異なることが観察され、第一層の分子配向や基板との結合状況が第二層の重合を左右することが示された。特に第一層の膜厚を数ナノメートル以下に限定することで、均一なポリペプチド薄膜を無溶媒で形成できることが明らかとなった。
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