常温液体リチウム塩として、オリゴエーテル置換基と電子求引性置換基を有するリチウムオルトアルミネートおよびオルトボレートを合成した。適度な長さのオリゴエーテル置換基を2つ持ち、電子求引性置換基が、CF_3COO、C_6F_5O、CF_3SO_3、(CF_3SO_2)_2N、(CF_3CO)_2Nの場合、オルトアルミネートおよびオルトボレートはすべてイオン性液体として得られた。ただし、(CF_3SO_2)_2N置換オルトボレートは、反応条件を変えて合成を試みたが得られなかった。MOPAC計算による部分電荷密度は、オルトアルミネートでは中心アルミニウムの周囲の酸素原子上の部分負電荷が大きくなり、酸素原子とリチウムイオンとの相互作用が大きくなる。一方、オルトボレートでは、酸素原子上の部分負電荷が小さくなり、リチウムイオンとの相互作用が小さくなり、塩の解離性が高くなる。それによって、オルトボレートのほうが高いイオン導電率となることがわかった。 [(CF_3SO_2)_2N]_2[CH_3O(CH_2CH_2O)_n]_2Al^-Li^+と(CF_3COO)_2[CH_3O(CH_2CH_2O)_n]_2B^-Li^+または(C_6F_5O)_2[CH_3O(CH_2CH_2O)_n]_2B^-Li^+とを混合することによって、単独塩よりも高いイオン導電率を得ることができ、0℃で1.2×10^<-5>Scm^<-1>および室温で1.1×10^<-4>Scm^<-1>となった。混合塩系を電解質に、金属リチウムを負極に、LiNi_<0.8>CO_<0.2>O_2を正極に用いたリチウムイオン二次電池において、かなり良好な充放電特性を示した。 置換基としてC6F5Sを導入したオルトボレートは有機溶媒、ポリマーに不溶であったが、フッ素系ポリマーやポリエーテルと混合すると、かなり高いイオン導電率を示し、不溶塩とポリマーとの界面でのイオン伝導が起こることを見出した。
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