研究概要 |
細孔径4nmの多孔質ガラス膜の細孔表面を光、pH,温度の刺激に応答する有機分子を導入することにより、これらの刺激に応答する刺激応答膜の創成を検討した。多孔質ガラスは、SiO_2,B_2O_3,Na_2Oを成分とするホウケイ酸ガラスより得た。 光応答性分子の導入は、まず多孔質ガラス表面に3-メルカプトプロピルトリメトキシシランを多孔質ガラスの表面水酸基に反応させることによって導入し、導入したチオール基に金コロイドを修飾し、さらにこの金コロイドと11-メルカプトウンデカン酸を反応させることによりカルボキシル基を導入し、カップリング反応によってアゾベンゼンを導入する手法を検討している。アゾベンゼンの光によるシスートランス異性化反応により光応答性を検討する。pH応答性については、4-トリエトキシシリルブチロニトリルを多孔質ガラスの細孔内に導入し塩酸酸性の条件下でニトリル基の加水分解を行うことによりカルボン酸基を導入した。当該カルボン酸は、約pH4程度で親疎水性が変化する。即ち、pH4以下では疎水性のために水溶液中では分子鎖が収縮し、pH4以上では、分子鎖が膨潤するので、こうした有機分子で改質した膜はpH応答性を有することが期待される。今回、アセトン水溶液で予備的に得られている結果ではこのような応答性があることを示唆する結果が得られている。温度応答性については、下限臨界溶液温度(LCST)を示すことが知られているN-イソプロピルアクリルアミド(NIPAM)を多孔質ガラス表面にチオール基を導入し、そのチオール基上に金コロイドを担持し、その金コロイド上に末端にチオール基修飾したNIPAMを反応させることによって得られる多孔質ガラス膜について検討している。
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