研究課題
繊維・高分子材料/アパタイト複合体の開発に関して、絹は十分な強度を有するとともに長年にわたり優れた縫合糸として使用されてきた実績があることから、国内外を問わず、その材料の候補としてよく用いられている。本研究の目的は、厳密に構造制御された絹の繰り返しラメラ構造を基盤とし、遺伝子組み換え法を用いて基盤表面のターン構造部位へ規則的にカルシュウム結合部位を導入、それにより絹基盤表面上へアパタイトナノ結晶を生成、新規骨補填材料を開発することである。本年度は、前年度の成果をさらに発展させ、家蚕絹結晶部の繰り返し構造の間に、接合部として、アコヤ貝真珠層に存在するカルシュウム結合部位を導入した化合物を遺伝子組み換え法を用いて生産した。ファーメンターを用いて大腸菌の培養条件の検討を詳細に行い、できるだけ収量を上げるように、培養条件を最適化した。その結果、数十mg/lの試料を得ることができ、SDS-Pageや^1H溶液NMRを用いて生産物の確認を行った。また、絹様タンパク質のフィルムを作成し、蟻酸処理またはメタノール処理によってラメラ構造を発現させ、前年度、用いてきた各種固体NMRの手法を用いて、そのキャラクタリゼーションを行った。カルシュウムとリンを含む水溶液中に交互浸漬を行うことによって、前年度、作成した試料同様、カルシュウムを表面に沈積させることができた。さらに、絹の構造に関する基礎的研究を主に固体NMRを用いてすすめ、絹の基盤構造について知見を蓄積し、多くの論文を関連の国際雑誌に報告した。一方、日本大学松戸歯学部において、絹様タンパク質の新規骨補填材としての評価をウサギ大腿骨への移植実験により行い、絹様タンパク質の分解と新生骨の生成に関する実験を行い、絹様タンパク質が、それらの観点から極めて優れていることを見出し、関連学会で報告した。
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