コロイド結晶はその構成粒子間隔がちょうど可視光の波長オーダーなので、Bragg反射による彩光を発する。また、結晶による干渉・回折により光をコントロールすることができる。結晶外部からBragg波長に一致した光を入射するとその光は反射されるが、結晶内部の蛍光性色素を励起することで結晶内部から発する光は結晶内に閉じ込められる。この閉込率の通過光学距離依存性を励起側及び発光側で測定することにより、閉込率を高めるためには結晶層の結晶面配向の制御が重要であることがわかった。更に、セル壁面における不均一核より成長した結晶の効果も示された。次に、コロイド結晶はコロイド粒子周囲に形成される電気二重層の反発により形成され、その結晶弾性率は極端に低いため液の剪断流動により容易に破壊される。電気二重層の剪断力による変形状況は、脱塩分散液のレオロジー測定からも明らかとされた。剪断による結晶破壊を防止して光学素子としての実用に供するため、初年度の研究ではコロイド結晶のゲル固定を実施した。アセトニトリル分散媒中で、粒径120nmのシリカ粒子をポリメタクリル酸メチルで表面修飾した粒子を用いコロイド結晶を発現し、これをゲル化剤Z-I-Isoleucine誘導体で固定した。ゲル固定結晶とゲル化剤未添加結晶をそれぞれ透明電極付光学セルに調整し、交流電場を印加し時間分割反射スペクトルの変化を測定したところ、前者のBraggピーク波長の変化が小さく結晶弾性率の向上が定量的に確認された。同一の表面修飾シリカ粒子を、メタクリル酸メチル共存下でアゾビスイソブチロニトリルを開始剤として光重合させた系では、ゲル化剤を使用した系より結晶弾性率が大きくなったが、結晶の電場変形が困難となった。重合条件等を更に最適化する必要がある。
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