研究課題/領域番号 |
16350124
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
土田 亮 岐阜大学, 工学部, 教授 (60183076)
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研究分担者 |
木村 浩 岐阜大学, 工学部, 助教授 (40313910)
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キーワード | コロイド結晶 / ゲル / 電気光学効果 / 反射スペクトル / 結晶弾性率 / エネルギー移動 / シリカコロイド / 表面修飾 |
研究概要 |
コロイド結晶とは、粒径が約50nmから300nm程度の単分散コロイド粒子を、極性溶媒中で十分脱塩したときに形成される規則構造である。このコロイド結晶は、コロイド粒子表面の電気二重層による静電的反発と、粒子のBrown運動とによって発現する。コロイド結晶を構成するコロイド粒子の面間隔に対応する光を結晶外部から入射すると、その光はBragg反射により結晶内部には入り込めない。しかし逆に、結晶の内側からの発光は結晶内部に閉じ込められる。前年度までの研究で、この光閉じ込め効果について定量的評価を行い、結晶面が揃うことが光閉じ込めの効率に大きく寄与することを明らかとした。今年度は、コロイド結晶を発現したコロイド分散系に電子エネルギー供与体および受容体となる2種類の色素を共存させ、前者のみを光励起することでこれからの発光をコロイド結晶内に閉じ込め、後者へのエネルギー移動効率を高めることに成功した。植物の光合成中心では多段のエネルギー移動システムが構築されているが、それぞれの段階での電子エネルギー供与体と受容体の距離と配置は巧みに配置され、高い移動効率を保つように設計されている。本研究成果においては、コロイド結晶を用いることでもエネルギー移動効率を高められることが発光量子収率および発光寿命測定により定量的に示され、人工光合成の実現にも一部寄与することができたと考えられる。この光閉じ込め効果が発現する光の波長はコロイド結晶の結晶面間隔に依存するので、面間隔を温度により制御することが試みられた。感温性高分子として有名なポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)ゲルのコロイド粒子より構成されたコロイド結晶は、Braggピーク波長が低温と高温でそれぞれ長波長と低波長に変化した。これを用いることで、光閉じ込め効果の温度による制御が可能となった。
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