研究課題/領域番号 |
16350129
|
研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
古川 猛夫 東京理科大学, 理学部第一部化学科, 教授 (90087411)
|
研究分担者 |
高橋 芳行 東京理科大学, 理学部第一部化学科, 助手 (80266923)
|
キーワード | 強誘電性高分子 / 薄膜 / 結晶化 / 原子間力顕微鏡 / 表面 / 構造制御 / 微細加工 / 分極反転 |
研究概要 |
強誘電性高分子フッ化ビニリデン・トリフルオロエチレン共重合体の薄膜を融解再結晶化させると、二種類の全く形状の異なる結晶が生成する。それら板状晶および針状晶について、昨年度までの研究によって、それらはいずれもラメラであり、前者はラメラが基板に平行に、後者は垂直に配向したものであることを明らかにしてきた。基板が下部電極であり、上部に対向電極を配置するような通常の電極配置においては、後者の配向を持った結晶が強誘電活性である。したがって、そのような配向を選択的に生成するような条件を見いだすことが重要である。そこで、本年は基板の状態、結晶化条件、さらには微細加工基板を用いて、構造制御に至るプロセスを探索した。 板状晶は二次元的に成長することができるのに対して、針状晶は一次元的に成長する。成長速度はいずれも等しい。核生成頻度は針状晶の方がやや高かった。核生成頻度が低く結晶の数密度が小さい場合には、薄膜全体の結晶化が完了するまでに個々の結晶が大きく成長する。その際、板状晶は時間の二乗に比例して体積が増大するのに対して、針状晶は時間の一乗に比例することになるので、時間の経過とともに板状晶の占有する割合が増大することになる。すなわち、核密度が低い場合には板状晶の比率が高い。一方、核剤を導入することによって核生成頻度が高くなると、相対的な針状晶の割合を高めることができた。さらに、微細な構造体を基板上に形成した上に成膜、融解再結晶化した際に、構造体と垂直な針状晶の配向が誘導でき、結晶の配向の三次元的な制御への道筋をつけた。 有望な応用としての強誘電メモリー素子への応用を視野に、半導体基板上にこの高分子の薄膜を形成し、基本的なメモリー特性の評価を行った。その結果、分極の向きに対応した空乏層厚の変化を、静電容量変化として観測し、基本的なメモリー動作を確認した。
|