研究課題/領域番号 |
16360003
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
石橋 隆幸 国立大学法人東京農工大学, 大学院・共生科学技術研究部, 助手 (20272635)
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研究分担者 |
佐藤 勝昭 国立大学法人東京農工大学, 大学院・共生科学技術研究部, 教授 (50170733)
町田 昌彦 日本原子力研究所, 計算科学技術推進センター, 副主任研究員 (60360434)
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キーワード | 高温超伝導体 / ボルテックス / 磁気光学効果 / 顕微鏡 / 微細構造 / 磁性体 |
研究概要 |
今年度は、磁束を観察するための試料となるビスマス系高温超伝導薄膜と、その磁束を転写し可視化するための磁性ガーネット薄膜の作製を有機金属分解(MOD)法を用いて行った。ビスマス系高温超伝導薄膜については、熱処理温度および雰囲気の最適化により、再現性良く臨界温度80Kを越える薄膜の作製が可能になった。磁性ガーネットに関しては、単結晶と同等の大きな磁気光学効果を示すビスマス置換イットリウム鉄ガーネット薄膜の作製に成功した。磁気異方性についても、ガリウムの添加量によって磁化容易軸方向を面内方向や垂直方向に変化させることができることも確認した。磁束を観察するために作製した面内磁化膜では、飽和磁場は1kOe、ファラデー回転角は500nmの波長で4×10^4(degree/cm)であった。 磁束を観察するための磁気光学顕微鏡について、円偏光変調法を応用した技術の開発を行った。この方法は、従来用いられてきたクロスニコル法よりも定量性が高く、観察時の光量が多くとれるため高速測定が可能であるという特長をもつ。実際に、ガラス基板上に作製したパターニングを施した磁性ガーネットで磁気光学顕微鏡としての性能評価を行った結果、ファラデー回転およびファラデー楕円率の画像を450〜650nmの波長範囲において定量性良く計測できることを確認した。回転角の精度は0.01度、空間分解能は1ミクロン以下であった。これらの結果から、上述の磁性ガーネットと組み合わせたときの磁気感度として〜10eの精度が得られることが分かった。これらの性能は、単一磁束量子を観察する上で十分なものである。 また、今年度導入した高速CCDカメラによって10msという短い時間での磁気光学像の計測が可能になり、ビデオレートでの観察に見通しが立った。さらに、同じく本年度導入したクライオスタットを磁気光学顕微鏡に導入することによって、3.5Kまでの低温での磁気光学像の計測が可能にり、超伝導体の磁束を観察する準備が整った。
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