研究課題
1.金属酸化物は強磁性、強誘電性、超伝導など多彩な機能を持つ興味深い物質群であり、応用的には不揮発性磁気メモリ(MRAM)など様々な用途への応用が期待されている。これら金属酸化物に対するナノ加工は、基礎物理的な興味に加え素子作製に直結する重要な課題である。複雑な遷移金属酸化物における、素子加工に適用可能な現実的なリソグラフィーの限界は収束イオンビーム法による100nm〜300nm程度とされている。2.MRAM応用に非常に適した物性(金属的伝導かつ高温強磁性)を持つFe3O4薄膜に対し、原子間力顕微鏡(AFM)を用い従来の限界を超えた最小線幅48nmの微細加工を達成した。原子レベル超平坦表面を持つFe3O4薄膜に対し、AFM探針に負バイアスを印加し大気中で試料表面をスキャンする事により、絶縁・非磁性の細線を描くことにより上記を達成した。印加電界の強さにより加工幅の制御が可能である。3.さらに室温でより大きなスピン偏極が期待され、キャリア濃度制御が可能な新酸化物スピン材料としてる(Fe, Mn)3O4薄膜を新たに提案・作製を行った。またこの材料を用いたトンネル接合デバイス、強磁性電界効果トランジスタを作製し室温動作の可能性を見出した。如何なる種類の金属酸化物でも普遍的により細いチャネル幅作製を可能とするナノパターンMoマスクを用いたナノ加工法を開発した。
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