研究概要 |
1)室温で強磁性を示す(La,Ba)MnO_3と強誘電体Pb(Zr,Ti)O_3を機能調和させた電界効果トランジスタ素子を作製し、室温に於いて、強誘電ゲート層の極性を反転させることにより、強磁性層の強磁性ヒステリシス・転移温度を変調する事に成功した。電界によるキャリア濃度変調を通じた室温における強磁性制御の最初の例である。 2)室温を遥かに超える強磁性転移温度を持ち、自由なキャリア濃度制御および強磁性転移温度の制御が可能な強相関電子系強磁性半導体材料が可能な新酸化物スピン材料として(Fe,Mn)_3O_4、(Fe,Zn)_3O_4を新たに提案し作製した。これらを用いたトンネル接合デバイス、ショットキーダイオード(FMO/Nb-SrTiO_3)、強誘電ゲート強磁性電界効果トランジスタ(FMO/Pb(Zr,Ti)O_3)デバイスを作成し、それぞれ室温において良好な整流特性、強磁性の電界変調を見いだした。さらにSpring-8とも共同研究による硬X線光電子分光測定によりその物性制御機構を明らかにした。 3)遷移金属酸化物における、素子加工に適用可能な現実的なリソグラフィーの限界は収束イオンビーム法による100nm〜300nm程度とされている。如何なる種類の金属酸化物でも普遍的により細いチャネル幅作製を可能とするMoナノマスクAFMリソグラフィー法、Moリフトオフナノインプリント法など各種酸化物ナノリソグラフィー法を開発し、30nm幅の(La,Ba)MnO_3ナノチャネルの形成の成功、(La,Pr,Ca)MnO_3ナノ細線構造における階段状磁気抵抗効果の発見、FMO、FZOナノサイズ横型電界効果トランジスタ構造を作成を達成した。
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