研究課題
本研究は分子層成長技術を用いた新規な超高速トンネルランジスタの開発を目的としており、TEG(トリエチルガリウム)とAsH_3の交互導入によるGaAsの分子層エピタキシーにおける自己停止成長機構(self-limiting growth mechanism)条件下(成長温度265℃)で高濃度不純物添加技術を用いトンネルトランジスタ構造の試作および評価を行った。トンネル接合構造の試作に関しては、単分子ドープ層形成後にノンドープ層を数層挿入するという独自の変調ドープを開発し素子試作に適用した。この変調ドープ法により、265℃の低温成長でありながら、高い不純物活性化率が得られること、およびノンドープ層による拡散防止効果があることが、デバイスの接合特性より実験的に確かめられた。トランジスタのソースドレイン構造と等価な構造を有するデバイスの適用例として、p^<++>(100nm)-n^<++>(10nm)-i(100nm)-n^+(substrate)からなるトンネル接合を有する2端子素子としてタンネットダイオードを試作し、トンネル電流に基づく高周波発振特性を確認した。発振周波数は室温連続発振で708GHzに達した。このことから、低温化した独自の分子層エピタキシャル成長によるナノレベルの多層構造が精度良く作製されており、トンネリング電子が高効率に注入され、精密な膜厚制御による10nm n^<++>層が逆バイアスの印加で空乏化し、電界が100nmのi層にバランスよく印加されていることが確認された。トランジスタ構造に関しては、ソースドレイン構造がn^<++>(10nm)-i(100nm)-n^<++>(10nm)の構造(p^<++>層なし)に、AlGaAs/GaAsによるMISゲート構造を付加してトンネルトランジスタ動作を確認した。このトランジスタ構造では最大発振周波数は120GHzに達した。さらにソースドレイン構造がp^<++>(100nm)-n^<++>(10nm)-i(100nm)-n^+(substrate)のトンネルトランジスタを試作し、直流動作特性を確認するまでに至った。
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