研究課題
本研究では次世代歪みSi-MOSFETデバイスのゲート絶縁膜形成の極限制御を目的として、格子歪みSi表面での酸化反応ダイナミクスをRHEED-AESとUPSを用いてリアルタイム表面計測することにより、格子歪みにより発生する点欠陥(放出Si原子+空孔)を介した酸化反応モデルの構築を進めた。(1)第一層酸化膜形成の酸化様式が温度上昇によりラングミュア型吸着から二次元島成長へと相転移するとき、第二層酸化膜形成が自己停止することを見いだした。また、ラングミュア型吸着の酸化様式においても、酸化温度を上昇させると第二層酸化膜形成速度が低下することから、第一層酸化膜形成における格子歪みの蓄積とそれによる点欠陥発生が重要な役割を担っていることが分かった。(2)第一層酸化膜形成のラングミュア型吸着において、酸素吸着曲線と2×1/1×2分域比の相関から、格子歪みによるSi原子放出量の酸化膜被覆率依存を定量的に明らかにした。(3)第二層酸化膜形成における界面反応速度と、その分解にけるボイド発生までの界面分解速度が大変によい相関をもつことを発見した。両者の律速反応として格子歪みによる点欠陥発生を用いることで、酸化と分解の反応過程を統合的に説明できることが分かった。(4)第一層酸化膜形成におけるバンドベンディングの時間発展が、Eg中の欠陥準位が点欠陥発生による空孔が関与しているとして、Si原子放出量との大変によい相関をもつことを明らかにした。このような点欠陥発生過程が酸化温度に依存して変化し、吸着酸素が占める格子位置の変化による歪みの相違が関連していることを明らかにした。(5)エチレンを用いて炭化したSi(001)c(4×4)-C表面において、O_2分子の初期吸着速度だけでなく吸着酸素の表面拡散が著しく影響を受けることを見いだし、基板表面の格子歪みの役割の重要性を示した。
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触媒 Vol.47, No.5
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