研究課題
今年度の研究では、MOSFETでのcarrier separation法により、信頼性と関連が深い深いとされる高誘電率ゲート絶縁膜(HfAlOxあるいはHfSiON膜)での電子および正孔捕獲について調査した。3nm程度の極薄絶縁膜にもかかわらず、主たる伝導機構の担体が、主たる捕獲電荷であり、トータルのゲート電流は減少する。しかし、支配伝導が両電荷でバランスされている場合には、両電流ともに減少し、膜厚方向に捕獲電荷が偏って分布することが明らかとなった。つまり、電子捕獲中心がゲート電極近傍に、正孔捕獲中心が基板近傍に偏って分布することを意味する。膜中に酸素欠損ゲート近傍に、格子間酸素が基板近傍に偏って分布するとすることで説明することができる。また、HfSiO膜をゲート絶縁膜とするMOSキャパシタのリーク電流は、同じ面積でも大きく変化し、膜中の欠陥分布が不均一であり、また、経時破壊寿命の分布が広い時間範囲に分布することが明らかとなった。これは、均質性が重要な超高集積回路では、その適用に対する大きな課題である。成膜時に窒素Nを添加することで抑制でき、実験範囲内では添加量が増大にするにつれて、安定性が増すことが明らかとなった。これは、窒素添加により、欠陥である酸素欠損のエネルギー準位が絶縁膜の禁制帯内から伝導帯側に押し出され、伝導に寄与できなくなるという第一原理計算の結果を反映するものである。また、初期のリーク電流の分布と経時絶縁破壊寿命の分布が対応し、伝導欠陥と絶縁破壊寿命とが密接に関連していることが明らかとなった。
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