研究概要 |
酸化膜中のボロン拡散 酸化膜中にイオン注入されたボロン不純物の拡散を測定した.前年度の研究から,チッ化保護膜がある試料を熱処理すると,^<28>SiO_2/^<30>Si界面から^<30>SiOと^<28>SiOが1:1の比率で発生し,^<28>SiO_2中に拡散する.このSiOがキックアウト拡散機構によりボロン不純物を酸化ネットワークからはじき出し,ボロン拡散が増速することを見出すことに成功した.これは,ネットワーク間の大きな隙間に移動したボロンは移動しやすくなり,拡散係数が上昇することにもよる.よって,チッ化保護膜で覆われて何も起こっていないと思われてきた状態においても,様々な化学反応に基づく拡散係数の変化が発生することがわかった.実際に^<28>SiO_2/^<30>Si界面に位置的に近いボロンほど拡散が増速した.また,同じ一定温度で熱処理をした場合でも,熱処理時間が長くなるほど界面から到達するSiOの数が増えるためボロンの拡散が増速された.すなわち一定の熱処理温度においても,熱処理時間によって「見かけ上の拡散係数」が変化する時間依存性をもつことになる.実験結果は,界面におけるSiOの発生頻度や酸化膜中の拡散係数に基づく拡散シミュレーションモデルをもちいて,完全に再現された.また,保護膜なしの構造では熱処理雰囲気中の酸素が^<28>SiO_2/^<30>Si界面に到達し,界面から発生するSiOの酸化膜方向の拡散を抑えた.よって,保護膜なしの状態ではボロンの拡散は酸化膜内では増速されない. 酸化膜を通したボロンのイオン注入は実際のプロセスでの導入が検討されている極浅接合作製技術の一つであるが,本研究で明らかにされたシリコン点欠陥のボロン拡散に対する影響を実際のプロセスシミュレータで考慮することが不可欠になる.
|