研究課題/領域番号 |
16360024
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
森田 隆二 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (30222350)
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研究分担者 |
郷原 一寿 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (40153746)
戸田 泰則 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (00313106)
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キーワード | 非線形レーザー顕微鏡 / 超広帯域スペクトル / 生体細胞 / フォトニック結晶ファイバー / 光第2高調波顕微鏡 / コヒーレント反ストークスラマン散乱 / スペクトル干渉 / 3次元空間分解 |
研究概要 |
本年度は、非線形レーザー顕微鏡ならびにそれに用いる光パルスに関する以下の成果を得た。 1.生体物質の3次元空間分解観測に適用可能な光第2高調波レーザー顕微鏡を開発し、生体細胞の一例として、タマネギ表皮細胞の観察を行った。空間反転対称性の破れを反映した信号を観測することにより、細胞壁での強い信号を観測、また、細胞内の核に対応する信号の検出に成功している。現在、空間分解能は、数μm程度である。 2.フェムト秒光パルスレーザー増幅器を光源としたコヒーレント反ストークスラマン散乱(CARS)レーザー顕微鏡の開発を行った。波長800nmと1050nm光を用いて、646nmのCARS信号光を検出することにより、タマネギ表皮細胞の3000cm^<-1>のC-H伸縮振動に関する観測に成功した。C-Hの結合密度の大きさを反映して、細胞核から強い信号が得られることを見いだしている。この顕微鏡の空間分解能は数μm程度である。 3.微細構造ファイバーであるフォトニック結晶ファイバー中にフェムト秒光パルスを伝播させることにより、480-1000nm超広帯域スペクトルを発生させ、変形スペクトル干渉位相電場再生システム、フィードバック位相補償システムを組み合わせたフィードバック位相補償を行い、フォトニック結晶ファイバーからでは世界最短の4.9fsの高繰り返し光パルスの発生に成功した。これは、コヒーレント反ストークスラマン散乱顕微鏡の光源となる光パルスである。 4.超広帯域光スペクトルを発生する方法として、2つの波長の異なる光パルスを用いる相互位相変調効果は、1つの光パルスによる自己位相変調効果よりもより広帯域スペクトルを発生させることができる。この誘起位相変調効果を有効に行うための重要なパラメータである2つのパルスの遅延時間依存性計算機解析を拡張有限差分時間領域法により行った。実験結果をよく再現する計算結果が得られており、また、初めて誘起位相変調効果と同時に4光波混合効果が生じることを見いだした。
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