研究分担者 |
荒川 泰彦 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (30134638)
志村 努 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (90196543)
芦原 聡 東京農工大学, 共生科学技術研究院, 特任助教授 (10302621)
藤村 隆史 東京大学, 生産技術研究所, 助手 (50361647)
|
研究概要 |
光情報技術において、近年のGaN半導体レーザーの成功により、波長400nm前後の青色領域の重要性がますます増している。本研究の目的は、この青色領域において動作する、InGaN量子井戸構造を基盤とする光デバイス、特に、フォトリフラクティブ素子を開発することにある。 本年度は,昨年度に引き続き,Fe添加半絶縁性GaNのフォトリフラクティブ効果について研究した。はじめに,波長405nmのGaN半導体レーザーを光源とし,フォトクロミック効果とフィトカレントの変化量のスペクトルをとり,報告されているFeの不純物準位の測定結果と照らし合わせ,その起源を詳細に調べた。続いて,フォトリフラクティブ効果の検証には,波長405nmのGaN半導体レーザーと,波長458nmのアルゴンイオンレーザーを用い,2光波混合ゲインの測定を行った。既に述べた通りこの試料は大きなフォトクロミック特性を示す。フォトリフラクティブ効果とフォトクロミック効果を分離するため,偏光スイッチ干渉計を使用した。この干渉計には電気光学変調器を組み込まれており,変調器がオフの状態では,干渉2光束の偏光は垂直で,干渉縞は生じない。電気光学変調器を高速でオンにすると,干渉2光束の偏光は平行になり,干渉縞が形成される。この干渉計では,全光量は電気光学変調器の状態によらず一定であるから,フォトクロミック効果は変化しない。この状態で,干渉縞を高速でオン・オフすると,フォトリフラクティブ効果の影響だけを抽出することができる。こうして,フォトリフラクティブ効果とフォトクロミック効果の分離測定が可能になった。波長458nmにおいて,およそ0.3/cmの2光波混合ゲインを得た。ゲインはおよそ0.4W/cm2で飽和した。この結果は,反射グレーティングに対する値としては予想以上に大きかった。時定数は光強度に依存し,飽和強度では8ms程度であり,予想通り高速であった。
|