研究概要 |
従来の光による形状計測では、広帯域光源を用いた低コヒーレンス干渉や波長可変レーザを用いた波長走査法やコヒーレンス関数合成法のように時間平均として仮想的な周波数コム合成法も試みられている。しかし、これらは周波数間隔とコム発生法に制限が多く、ファイバセンシングのような距離計測に対しての応用に限られている。本研究では光周波数コムの周波数帯域を広帯域化して、周波数間隔数十GHzの光コムを用いた新しい表面形状法を提案し、本方式を適用して段差計測または膜厚計測を行った。 平成16年度は光周波数コムの発生方法として、波長1550nmのレーザー光を直列につながれた2個の位相変調器に入射することで12 GHz間隔で、帯域500 GHzの周波数コムを発生した。この時、片方の位相変調器に逓倍器によって2倍波の変調信号を入力することでより広い帯域の周波数コムが得られた。この手法により0.1mmから10mに及ぶ範囲で任意の深さの表面形状を物理的な稼動部を必要せずに計測することができる。実験によって計測精度300μmが得られた。 平成17年度はさらに高分解能な計測を実現するために,コムのピーク間隔を2倍に広げた上に共振器内に位相変調器を設置して光周波数コムの帯域を広げる方法を用いた。その結果,帯域は約10 THzとなり前年度の約20倍の帯域が得られた。ここで共振器の周波数特性を利用すると約30MHzから40MHzの範囲を掃引できることがわかった。この光源を実験に応用500μmの膜厚のガラス板を試料として繰返し計測を行った。その結果,帯域は約10 THzとなり計測の精度を19.7μmとすることに成功した。
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