研究概要 |
本研究では,透明波長域においても電界誘起屈折率変化が極めて大きいという特長を持つ,5層非対称結合量子井戸(FACQW)の作製およびFACQWを用いた超広波長帯・超高速光変調デバイスの実現を目指している.本年度は以下の成果を得た. (1)GaAs系FACQW Mach-Zehnder光変調器の作製と特性評価 GaAs/AlGaAs多重FACQWをコア層とするMach-Zehnder(MZ)干渉計型光変調器を設計・作製し,ショットキー電極を有する素子において半波長電圧2.5V(DC電圧駆動)を達成した.また,GaAs系FACQW構造の電界誘起屈折率変化の偏光依存性を測定し,理論予測と同等の特性が実測された. (2)InGaAs系FACQWにおける電界誘起屈折率変化特性の理論的検討 InGaAs系FACQWについて,価電子帯構造の非放物線性等を考慮したより厳密な電界誘起屈折率変化特性の理論予測を行い,本材料系においてもGaAs系と、同様に巨大な屈折率変化が得られることを明らかにした. (3)InGaAs系FACQWの作製と評価 InP基板に格子整合したInGaAs/InAlAs単一量子井戸を作製し,その構造的および光学的評価を行った.光吸収電流測定により,その電界吸収変化特性が理論予測と同等の傾向を示すことを実験的に明らかにした. (4)InGaAs系FACQW MZ光変調器構造の作製 InGaAs/InAlAs多重FACQWをコア層とするMZ光変調器構造の作製技術の確立を行った.光変調特性を測定するには至らなかったが,pin構造における電極分離構造等の評価を行い,本光変調器構造の作製の見通しが立った.
|